コロナ禍に見舞われた、休業中の映画館。支配人の久保は、このまま閉館してしまうことも考え始めていた。 ある夜のこと。一人の若い映画監督が、映画館に駆け込んでくる。彼は監督作の上映機会を、映画館休業により失ってしまっていた。今からでも休業を取り止めにして、上映してほしいという懇願に、久保は観客なしでの上映を決める。 それは、若い映画監督の熱意にほだされたということもあったが、もう一つにはある願掛けをしようとしたからでもあった。 「この映画館、幽霊が出るんですよ。良い映画をかける時には、必ず」 コロナ禍を生きるすべての映画ファン・映画館ファンに捧ぐ、心温まるヒューマンファンタジー。
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